医療費控除は
いくら戻る?
医療費が10万円を超えたら全額戻るわけではありません。控除額の式、保険金の差し引き方、対象費用、申告書類を具体的に整理します。
執筆・編集:いまいくら編集部 最終確認:2026年9月5日 内容:制度の一般的な解説
個別の申告・契約・資格認定を確定するものではありません。適用条件は、ページ末尾の公的資料と所管機関の案内もご確認ください。
医療費控除は「医療費が10万円を超えたら10万円戻る」制度ではない
医療費控除は、支払った医療費の一部を所得から差し引く「所得控除」です。控除額そのものが現金で戻るわけではありません。控除後の課税所得が下がることで所得税が還付され、翌年度の住民税が軽減される場合があります。
計算するときの4つの確認
1月1日から12月31日までに現実に支払った医療費を集計します。未払い分は支払った年の対象です。
本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も合算できます。
入院給付金、高額療養費、出産育児一時金など、その医療費を補てんする金額を差し引きます。
医療費控除の明細書を作成して申告します。領収書は原則5年間保存します。
対象になりやすい費用・対象にならない費用
対象になりやすい
- 診察・治療・入院の自己負担
- 治療に必要な処方薬・市販薬
- 通院のための電車・バス代
- 治療目的の歯科費用
- 出産に伴う一定の診療・入院費用
原則として対象外
- 美容整形や容姿改善が目的の費用
- 健康維持のためのサプリメント
- 予防接種や健康診断のみの費用
- 自家用車で通院したガソリン代・駐車料金
- 本人都合で選んだ差額ベッド代
診断結果や治療との関係で扱いが変わる費用があります。判断が難しい場合は国税庁の具体例または税務署へ確認してください。
保険金は医療費全体から一括で引かない
入院給付金などの補てん金は、その給付の対象となった医療費を限度に差し引きます。たとえば、入院費10万円に対して給付金15万円を受け取っても、余った5万円を別の通院費から差し引く必要はありません。申告時点で補てん金が未確定なら見込額で計算し、確定額が異なれば修正申告または更正の請求で訂正します。
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制は、一定の健康診査や予防接種などを行った人が、対象医薬品の購入額のうち12,000円を超える部分を控除する特例です。控除上限は88,000円で、通常の医療費控除と同じ年に両方を使うことはできません。どちらが有利かを確認して一方を選びます。
還付額が控除額より小さくなる理由
医療費控除で戻る所得税は、概ね「医療費控除額×その人の所得税率」が基礎になります。課税所得が少なく、もともとの源泉徴収税額が小さい人は、控除額が大きくても還付できる所得税に上限があります。住民税の軽減は翌年度に反映されるため、所得税の還付金だけで効果を判断しないことが大切です。
よくある質問
家族の医療費もまとめられますか?
本人が、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費は合算できます。健康保険上の扶養に入っているかどうかだけで決まるものではありません。
医療費が10万円を超えた分がそのまま戻りますか?
戻りません。10万円等を超えた部分は所得控除額です。実際の所得税還付額は控除額、課税所得、所得税率、源泉徴収済み税額などで変わります。
領収書は確定申告書に添付しますか?
原則として医療費控除の明細書を添付し、領収書は自宅で5年間保存します。一定の医療費通知を使うと明細書の記載を簡略化できます。
セルフメディケーション税制と両方使えますか?
同じ年について通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を併用することはできません。どちらか一方を選択します。
関連する計算ツール・ガイド
国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」 / 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」
内容の誤りや制度更新の反映漏れは、お問い合わせ・訂正窓口から報告できます。