住宅ローン控除の
条件と計算方法
「年末残高×0.7%」だけでは分からない、借入限度額、所得・床面積要件、住民税への振替、初年度の確定申告を順番に整理します。
執筆・編集:いまいくら編集部 公開・最終確認:2026年9月3日 対象:2026年に入居する新築住宅・建築後未使用住宅
一般的な制度解説です。既存住宅、増改築、共有・連帯債務、補助金や贈与がある場合は条件が異なります。最終的な申告は国税庁・税務署の案内で確認してください。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、一定の住宅をローンで取得し、自分で居住した場合に、年末のローン残高等を基に計算した金額を所得税から差し引く制度です。2026年度税制改正で適用期限が5年間延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までの入居分が対象になりました。
控除率は0.7%ですが、「残高の0.7%が現金でそのまま受け取れる制度」ではありません。使える控除額は住宅性能、取得対価、年末残高、本人の税額によって変わります。
控除額が決まる4段階
認定住宅、ZEH、省エネ基準適合など、住宅性能の区分から法律上の借入限度額を確認します。
年末ローン残高、取得対価等、借入限度額を比べ、控除計算に使える金額を確認します。
計算に使う年末残高等に0.7%を掛け、その年の法定控除可能額を求めます。
所得税から控除し、余った一部を翌年度住民税から控除します。税額が少ないと全額は使えません。
2026年入居の借入限度額
| 新築住宅等の区分 | 一般世帯 | 子育て世帯等 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 経過措置対象のその他住宅 | 2,000万円 | 2,000万円 | 10年 |
子育て世帯等とは、入居年の12月31日時点で19歳未満の扶養親族がいる世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯です。上乗せを使う場合、床面積は50㎡以上が必要です。
「その他住宅」の経過措置
長期優良、低炭素、ZEH、省エネ基準適合のいずれにも該当しない新築住宅は、原則として対象外です。ただし、2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または2024年6月30日までに建築された住宅は経過措置の対象となり、借入限度額2,000万円・控除期間10年で適用できる場合があります。確認済証、検査済証、登記事項証明書などで日付を証明する必要があります。
床面積・所得・返済期間の基本要件
主な要件は、本人が主として居住する住宅であること、引渡しまたは工事完了から6か月以内に入居すること、その年の12月31日まで引き続き居住すること、ローンの償還期間が10年以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であることです。
床面積は原則50㎡以上です。合計所得金額1,000万円以下の一般世帯は40㎡以上に緩和されますが、子育て世帯等の借入限度額上乗せを利用する場合は50㎡以上が必要です。マンションでは広告上の壁芯面積ではなく、登記簿上の面積で確認します。
年末残高より取得対価が低い場合
住宅ローンの年末残高が3,000万円でも、住宅・土地の取得対価等として自分に帰属する金額が2,500万円なら、単純に3,000万円へ0.7%を掛けることはできません。さらに住宅区分の借入限度額が2,000万円なら、計算の基礎は2,000万円です。補助金、住宅取得等資金の贈与、共有持分、連帯債務があると取得対価等や残高の扱いが変わるため、計算明細書で確認します。
0.7%を使い切れないケース
たとえば計算上の控除可能額が21万円でも、その年の所得税額が10万円なら、まず所得税から使えるのは10万円までです。残りは翌年度住民税へ回りますが、住民税側にも「課税総所得金額等の5%・上限97,500円」という上限があります。所得税・住民税から控除しきれなかった分は、原則として翌年へ繰り越されません。
そのため、借入限度額が高い住宅を選んでも、本人の税額が小さければ最大控除額を使い切れないことがあります。住宅購入予算を「最大控除額」だけで決めないことが重要です。
初年度は確定申告、2年目以降は年末調整
入居した最初の年は、給与所得者でも確定申告が必要です。確定申告書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、年末残高証明書、売買契約書・工事請負契約書、登記事項証明書、住宅性能を証明する書類などを準備します。
初年度に適用を受けた給与所得者は、2年目以降、税務署から交付される書類と金融機関の年末残高証明書を勤務先へ提出し、年末調整で控除を受けられる場合があります。転職や電子交付の有無などで提出方法が変わるため、勤務先の案内も確認してください。
既存住宅は同じ限度額ではない
2026年度改正では、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額の引上げ、子育て世帯等への上乗せ、控除期間13年への拡充が行われました。ただし新築住宅と既存住宅では区分ごとの限度額や確認書類が異なります。本ガイドと計算機は新築・建築後未使用住宅を対象にしているため、中古住宅を購入した場合は国土交通省の既存住宅向けページを確認してください。
よくある質問
住宅ローン控除は住宅価格の0.7%ですか?
住宅価格ではなく、原則として年末ローン残高等を基に計算します。ただし取得対価等と住宅区分ごとの借入限度額が上限になるため、年末残高だけで控除額は決まりません。
年末残高の0.7%を毎年必ず使い切れますか?
使い切れるとは限りません。まずその年の所得税から控除し、残額の一部を翌年度住民税から控除します。所得税と住民税の上限より控除可能額が大きい場合、残った額は原則として消滅します。
2026年に入居する省エネ基準適合住宅の限度額は?
新築住宅等では一般世帯2,000万円、子育て世帯・若者夫婦世帯は3,000万円で、控除期間は13年間です。住宅性能を証明する書類が必要です。
初年度は年末調整だけで済みますか?
初年度は確定申告が必要です。給与所得者は、初年度に適用を受けた後、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けられる場合があります。
連帯債務ではローン全額を入力しますか?
家全体の残高をそのまま入力せず、債務負担割合や持分、取得対価との関係を確認し、自分の控除計算に使う金額を入力します。判断が難しい場合は計算明細書の説明や税務署で確認してください。
関連ページ
国土交通省「住宅を新築したとき・建築後使用されたことのない住宅を取得したとき」 / 国土交通省「既存住宅を取得したとき」 / 国土交通省「住宅税制」 / 国税庁 タックスアンサー No.1211-1 / 財務省「令和8年度税制改正(国税)等について」
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