残業代の計算方法
「残業した時間×時給」だけでは決まりません。法定内・時間外・深夜・法定休日を分け、重複する割増率まで確認します。
執筆・編集:いまいくら編集部 最終確認:2026年9月3日 対象:日本の労働基準法が適用される一般的な労働者
変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制、管理監督者などは個別の判定が必要です。
最初に「所定労働時間」と「法定労働時間」を分ける
会社が雇用契約や就業規則で定めた勤務時間を所定労働時間といいます。これに対し、労働基準法上の法定労働時間は原則として1日8時間・1週40時間です。所定労働時間が7時間の会社で8時間まで働いた1時間は、会社の定時を超えていても法定労働時間内の「法定内残業」です。就業規則等に別の定めがなければ、法律上25%以上の割増が必須となる時間外労働ではありません。
割増賃金率の早見表
| 労働の種類 | 法律上の最低割増率 | 支給額の考え方 |
|---|---|---|
| 法定時間外労働 | 25%以上 | 基礎単価×1.25以上 |
| 月60時間を超える時間外労働 | 50%以上 | 基礎単価×1.50以上 |
| 深夜労働(22時〜5時) | 25%以上 | 通常の労働または他の割増に深夜25%を加算 |
| 法定休日労働 | 35%以上 | 基礎単価×1.35以上 |
| 時間外+深夜 | 50%以上 | 25%+25% |
| 月60時間超+深夜 | 75%以上 | 50%+25% |
| 法定休日+深夜 | 60%以上 | 35%+25% |
会社の就業規則・労働協約が法定率より高い率を定めている場合は、その高い率を使用します。
月60時間を超える時間外労働は50%以上
1か月の法定時間外労働が60時間を超えた部分には、50%以上の割増率が必要です。2023年4月以降は中小企業にも適用されています。60時間の集計には通常、法定休日労働の時間は含めませんが、法定休日以外の休日に働き週40時間を超えた時間は時間外労働として含まれることがあります。
労使協定を締結した場合、50%のうち25%を超える部分について、割増賃金の支払いに代えて有給の代替休暇を付与できる制度があります。通常の年次有給休暇とは別の制度です。
法定休日と所定休日を間違えない
使用者は原則として毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上の法定休日を与える必要があります。法定休日に働けば35%以上の休日割増が必要です。一方、完全週休2日制の土曜日・日曜日の両方が自動的に法定休日になるとは限りません。どちらか一方だけが法定休日で、もう一方は会社独自の所定休日である場合があります。
所定休日に働いた時間は、その週の法定労働時間を超える部分について時間外割増を判定します。給与明細だけでは区別できない場合、就業規則や勤務表で法定休日の指定を確認してください。
月給から残業代の基礎単価を出す方法
月給制では、割増賃金の基礎となる1時間当たり賃金を「割増賃金の基礎に算入する月給÷1か月平均所定労働時間」で求めます。1か月平均所定労働時間は、年間の所定労働日数・所定労働時間から計算します。月ごとの暦日数や実際の残業時間で割るものではありません。
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、法律上の要件を満たす場合に基礎から除外できます。ただし手当の名称だけで判断せず、扶養人数や通勤距離など個人的事情に応じた支給かを確認します。一律定額の「住宅手当」などは除外できない場合があります。
残業代を確認する4ステップ
始業・終業、休憩、待機時間、持ち帰り業務などを記録し、労働時間に当たる時間を確認します。
1日8時間・週40時間、変形労働時間制、法定休日の指定を確認します。
時給制は原則その時給、月給制は算入対象月給を1か月平均所定労働時間で割ります。
22時〜5時、月60時間超の区分が重なる時間へ追加の割増率を適用します。
固定残業代がある場合
固定残業代制度を採用する場合、通常の賃金部分と固定残業代部分が判別でき、何時間分・どの種類の割増賃金に当たるかが明確であることが重要です。実際の時間外・休日・深夜労働について法定どおり計算した金額が固定残業代を上回れば、使用者は差額を支払う必要があります。「固定残業代を払っているから何時間働いても追加なし」という扱いにはなりません。
残業代シミュレーター
時給または月給、所定労働時間、法定内残業、時間外、月60時間超、深夜、法定休日の時間を分けて入力すると、法定最低率による追加支給額の目安を確認できます。
残業代・割増賃金計算
時間区分ごとの割増賃金と合計額を計算。
残業代を計算するよくある質問
1日8時間を超えたら必ず25%増しですか?
原則として法定労働時間の1日8時間・週40時間を超える時間外労働には25%以上の割増賃金が必要です。ただし変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間制などでは判定方法が異なります。
深夜残業の割増率は何%ですか?
法定時間外労働が午後10時から午前5時の深夜帯にも当たる場合、時間外25%以上と深夜25%以上を合わせて50%以上です。月60時間を超える時間外労働と深夜が重なる場合は75%以上になります。
法定休日と所定休日は同じですか?
同じではありません。労働基準法上の法定休日に働いた場合は35%以上の休日割増が必要です。会社が定める所定休日でも法定休日でなければ、週40時間を超えた部分を時間外労働として判定します。
固定残業代があれば追加の残業代は不要ですか?
固定残業代として通常賃金と区別された金額が、実際の時間外・休日・深夜労働について法定計算した額を下回る場合、差額の支払いが必要です。名称だけでなく契約内容と実際の労働時間を確認します。
関連する計算・ガイド
e-Gov法令検索「労働基準法」 / 大阪労働局「割増賃金」 / 厚生労働省「労働時間・休日」 / 厚生労働省「確かめよう労働条件」
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