給与明細の読み方

給与から手取りが
決まる仕組み

額面給与から何が、どの基準で差し引かれるのか。社会保険料、所得税、住民税の違いを順番に整理します。

日本の公的資料を基に解説

執筆・編集:いまいくら編集部 最終確認:2026年9月3日 対象:日本で給与を受け取る一般的な会社員

個別の給与計算を確定するものではありません。加入制度、勤務先、自治体、扶養・控除の条件によって実額は異なります。

手取りは「総支給額-控除額」

給与明細の「総支給額」には、基本給、役職手当、住宅手当、時間外手当、通勤手当などが含まれます。一方、「手取り」は総支給額から社会保険料、税金、会社独自の控除を差し引いた振込額です。通勤手当のように一定範囲が所得税では非課税となる項目でも、社会保険の報酬には含まれる場合があるため、控除ごとに計算対象が同じとは限りません。

給与から主に引かれる5項目

01健康保険料

病気やけが、出産などに備える保険です。協会けんぽでは都道府県支部ごとに保険料率が異なり、原則として標準報酬月額を基に労使で負担します。

02厚生年金保険料

老齢・障害・遺族年金のための保険料です。標準報酬月額と標準賞与額を基に計算し、事業主と被保険者が原則として折半します。

03雇用保険料

失業等給付や育児休業給付などの財源です。健康保険・厚生年金と異なり、原則としてその月の賃金総額に年度・事業区分別の料率を掛けます。

04所得税

毎月は源泉徴収税額表に基づく概算額が天引きされ、年末調整または確定申告で1年間の本来の税額と精算されます。

05住民税

原則として前年の所得を基に自治体が計算します。会社員の特別徴収では、多くの場合6月から翌年5月までの給与から引かれます。

健康保険・厚生年金は「標準報酬月額」で決まる

健康保険料と厚生年金保険料は、毎月の給与に直接料率を掛けるのではなく、税引前の報酬月額を一定の等級に区分した「標準報酬月額」を使います。通常は4月・5月・6月に支払われた報酬の平均から定時決定し、その年9月から翌年8月まで使用します。固定的賃金が変わり、一定の条件を満たした場合は途中で随時改定されます。そのため、昇給した月と社会保険料が変わる月が一致しないことがあります。

賞与は月給とは別に「標準賞与額」を使います。給与と賞与を同じ式で処理すると実際の明細と合わないため、手取りを確認するときは分けて考える必要があります。

所得税は毎月の仮払い、年末に精算

会社は給与を支払う際、社会保険料等を差し引いた後の給与額と扶養親族等の人数を源泉徴収税額表に当てはめ、所得税を天引きします。扶養控除等申告書を提出している主たる勤務先では原則として甲欄、提出していない勤務先では乙欄を使うため、副業先の天引きが高く見える場合があります。

毎月の源泉所得税は最終税額ではありません。年末調整で給与所得控除、基礎控除、扶養、生命保険料控除などを反映し、天引きし過ぎていれば還付、足りなければ追加徴収されます。医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、年末調整で扱えない項目は確定申告が必要です。

住民税は「前年の所得」が基準

所得税がその年の給与に対して概算で天引きされるのに対し、住民税は前年1月から12月までの所得を基に翌年度分が決まります。会社員の特別徴収では、自治体から勤務先へ届いた税額通知に従い、原則として6月から翌年5月まで分割して給与から控除します。

前年に所得がなかった新卒者や日本で働き始めた人は、最初の年に住民税が引かれず、翌年6月から手取りが減ることがあります。転職・退職、複数の所得、自治体の税率・均等割、税額控除によっても月額は変わります。

給与明細を確認する順番

01支給項目を確認

基本給、残業代、各種手当、非課税通勤費が正しく計上されているか確認します。

02社会保険の等級を確認

標準報酬月額の通知や会社の説明と、健康保険・厚生年金の控除額を照合します。

03税金の時期を確認

所得税は当月の概算、住民税は前年所得に対する通知額という違いを確認します。

04会社独自の控除を分ける

財形、社宅費、組合費、食事代などは法定控除とは別に確認します。

手取りシミュレーターの使い方

シミュレーターでは月給、賞与、年齢、扶養などを入力して、社会保険料・所得税・住民税を差し引いた年間手取りの目安を確認できます。実際の標準報酬月額、加入する健康保険、住民税通知額が分かる場合は、給与明細や勤務先の通知を優先してください。

給与・年収の手取り計算

月給と賞与から年間手取りと控除内訳を確認。

手取りを計算する

よくある質問

額面給与と手取りの違いは何ですか?

額面給与は基本給や各種手当を合計した控除前の支給額です。手取りは、そこから健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税などを差し引き、実際に振り込まれる金額です。

入社1年目は手取りが多く見えることがありますか?

住民税は原則として前年の所得を基に計算されるため、前年に日本で所得がなかった新卒者などは、入社直後に給与から住民税が引かれない場合があります。翌年6月以降に住民税の天引きが始まると、同じ給与でも手取りが減ることがあります。

社会保険料は毎月の給与に保険料率を掛けるだけですか?

健康保険料と厚生年金保険料は、原則として実際の給与そのものではなく、報酬を等級に当てはめた標準報酬月額を基に計算します。雇用保険料は賃金総額を基に計算するため、同じ社会保険でも計算方法が異なります。

手取り計算と給与明細が一致しない理由は何ですか?

加入する健康保険、標準報酬月額、年齢、扶養人数、住民税の自治体、非課税手当、会社独自の控除、端数処理、保険料を控除する月などで差が生じます。シミュレーターは前提条件に基づく概算として利用してください。

関連する計算・ガイド

参照した公的資料(2026年9月3日確認)
日本年金機構「定時決定」全国健康保険協会「保険料額表」国税庁「年末調整がよくわかるページ」厚生労働省「雇用保険料率」

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